予防接種のおはなし(看護師目線👀)

今年度のインフルエンザワクチンシーズンも終盤ですが、本日は、お子さんたちが予防接種を受ける時に、私たちが心掛けていることについてお話ししてみます。

先日、インフルエンザ予防接種を受けたお子さんのママから、「看護師さんのシールやおもちゃを出すタイミングって絶妙ですよね」と、言っていただいたことがありました。
そうなのです。実は意識してやっておりました。
気付いてくださるママがいらっしゃって嬉しかったので、今回は、実はお子さんたちとの関わる上で心掛けていた看護技術のお話。

注射はどんなお子さんでも嫌なものです💉。
ですが、予防接種はお子さんを守るために大切なことなので、避けては通れません。
だからこそ、一番の理想は、お子さんが納得して予防接種を受けられること。
そして、次回の接種に前向きな気持ちで繋げていくことを大切に考えています。

予防接種のためにクリニックに来院したお子さんには色んなお子さんがいます。
頑張る覚悟を決めてきた子、嫌だけどなんとか病院に来てくれた子、ご褒美の約束をしてきた子、と様々です。事前に伝えてしまうと病院には連れていけないと困ってしまうパパママが、あえてお子さんには伝えないで来院する選択ももちろん一つです。
そんなお子さん一人ひとりの様子を見ながら、事前にお話しても大丈夫そうであれば、お子さん自身が心の準備ができるように、まずは一緒に作戦会議をしていきます。「一人で座って頑張る?」「ママに抱っこしてもらって一緒に頑張る?」「お兄ちゃんとどっちが先にする?」などと、お子さん自身が主体的に予防接種に向かえるようにするために、一緒に決めていきます。
一緒に考えるかたちで本人も準備段階から参加してもらうと、ちょっとだけ頑張れる気がしてくる子もいます。
接種の前には、どんなふうに注射をするのか、心の準備ができるように事前に接種の流れをお話しすることもあります。分からないことをするのは大人でも怖いことなので、「まず消毒をして、ここに注射するよ」「最初はチクッとして痛いけど、いーち・にーを数えている間に終わるよ」などと、お子さんがイメージしやすいようにお話しします。

実は、ここまでの心の準備をするための関わりは、プレパレーションという看護技術の一つでもあります。
お子さんに合わせた様々な方法で、処置などに向かう子どもが心理的な準備をして、対処できるように支援する関わりをプレパレーションといいます。
お子さんとのちょっとした会話の中でも、子どものがんばれる力を引き出せるように、その子に合わせた方法で、心の準備ができるようにすることを意識してお声掛けするようにしています。

そして、無事接種が出来たときには、お子さんの頑張りをパパママと一緒に褒めて一緒に喜びます。葛藤していたお子さんが泣きながらもがんばって出来たとき、去年までは診察室から脱走してしまうようなお子さんが納得した様子で一人で座って出来たとき、私たちもお子さん一人ひとりの成長を見て、嬉しくなります🌷。
もちろんスムーズにいかないこともあって、怖くなってしまいなかなか接種できない子も沢山います。そんなときは、出来るだけ怖い気持ちが長く続かないように、かつ、安全に接種することを第一に考えて、パパやママにご協力いただきしっかりと抱っこで抑えて、できるだけスピーディーに終えられることに全力を注ぎます。

また、当院では、予防接種を頑張ってくれたお子さんに、シールを準備しています🐰🐻🐶。
シールは単純にご褒美というだけでなく、接種が終わったタイミングでシールをお渡しすることで、怖かった思いから上手に気持ちを切り替えるためのきっかけ作りの目的もあったりします。
まだ上手く理解できない0歳1歳のお子さんの時は、出来るだけスムーズに接種が終えられるように、そして、接種後には上手に気持ちをそらしてあげられるように音のなるおもちゃなどを活用することもあります。
ここにも、ディストラクションといって気をそらすための看護技術が隠れていて、検査や処置の際には、おもちゃや音楽、コミュニケーションなどで、子供の意識を意図的にそらしたり気がまぎれるようにして、苦痛を最小限にする関わりを意識しています。

ここまでお子さん自身の頑張りに加えて、ちょっとした関わりの中に看護技術を活用した理想的な流れをお話ししてみましたが、一筋縄ではいかないのが子どもたち。
思い通りにいかないことのほうが多いのが現実で、もっとこうしてあげれば良かったと反省する日々です。
私たちも、予防接種をがんばるお子さんたちに負けないように、小児医療のプロとして一緒に成長していけたらと思っています。
今回お話ししたプレパレーション(心理的準備)やディストラクション(気そらし)には、医療者だけなく、是非パパとママも一緒に参加していただけると、私たちも心強いです💪。
また、医療の現場だけでなく、育児の中でも活かせることがあるかもと思い、この機会にご紹介させていただきました。
日々の育児の困った場面で、なにかのヒントになれば幸いです。


看護師 渡辺

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