小学6年生以上のみなさん、保護者の方へ①(💉子宮頚がんワクチンのこと💉)

新年度が始まりバタバタしているうちに、早くも風薫る季節となりました。皆さんそろそろ疲れが出てくる頃ではないでしょうか。GWも終わってしまい、次の連休はなんと7月・・・勢いで乗り切るには無理がありますよね・・・しっかり食べて出来るだけ寝て、日々すこやかに過ごしたいものです🌸

さて、最近小学校高学年~中学生のお子さんをもつ保護者の方から「子宮頚がんのワクチンは打った方が良いのか」といった質問をいただくことが増えてきました。
子宮頚がんのワクチン(以下HPVワクチンと書きます)は日本でも2013年4月から定期接種がはじまりましたが、その後ワクチンを接種した人から痛みやしびれ等多様な症状の訴えがあったため、2013年6月、開始からわずか2ヵ月で積極的な勧奨が差し控えられることとなりました。その後様々な調査の結果、ワクチンの安全性に特段の懸念が認められないこと、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたため、この4月から9年ぶりに個別の勧奨が再開されています。最近では残念ながらHPVワクチンに関する報道は殆ど聞かなくなってしまいましたが、勧奨が差し控えられることとなった当時は随分大きな話題となったため、今でもHPVワクチンに対し不安に思う方や、接種の機会を逃してしまった方が沢山いると思います。
そこで今回は子宮頚がんとHPVワクチンについて簡単にお話ししようと思います。少し長いので2回にわけます✌

🐄子宮頚がんってどういう病気?

子宮頚がんは、子宮頸部という子宮の出口付近に出来るがんです。
子宮頚がんの殆どは、性的接触によりヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染することで生じます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験のある女性の50-80%が感染すると言われています。感染した女性のうち一部が将来子宮頚がんを発症します。
患者さんは20歳台から増え始め、若い女性のがんの中で多くを占めるがんとなっています。日本では毎年約1.1万人の女性がかかり(これは学校のクラスに例えると2クラスに一人くらいの割合です)毎年約2900人が亡くなっています(これは10クラスに一人くらいの割合です)

🐄治療方法は?

病状によって異なりますが、手術や放射線、抗癌剤による治療があります。早期に発見し手術等の治療をすれば多くの場合治すことが出来る病気ですが、進行したがんは完治が難しく、また治療後に妊娠ができない、足のリンパ浮腫、ホルモン欠落症状といった後遺症に苦しむ患者さんも少なくありません。

🐄子宮頚がんで命を落とさないために

子宮頚がんで苦しまないために私たちが出来ることはHPVワクチンの接種+子宮頚がん検診の2つです。
まずHPVワクチンを接種することで、子宮頚がんの原因の50-70%以上を占めるタイプのHPVの感染を防ぐことが出来ます。そして、ワクチンでは防げない残りのタイプのHPVによる子宮頚がんを早期発見するために、20歳以上の方は2年に1回子宮頚がん検診を受けることが重要です。
現在日本では二人に一人が生涯で一度はがんに罹ると言われています。有効な予防法が分かっていないがんも多い中で、子宮頚がんは最も予防しやすいがんと言えます。

🐄HPVワクチンってどういうワクチン?

HPVワクチンは世界の多くの国で9-14歳の女性に接種されていて、特に9割という高い接種率を誇るオーストラリアでは2028年には子宮頚がんは撲滅されると予測されています。2022年5月現在日本において公費で受けられるHPVワクチンは2種類(サーバリックス・ガーダシル)あります。また、任意接種になりますが、子宮頚がんの原因の90%以上を防げるワクチン(シルガード9)もあります。いずれも合計3回接種することで十分な抗体が得られ、少なくとも12年は維持されると言われています。

☞「小学6年生以上のみなさん、保護者の方へ②」に続きます☞

看護師 津村

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