御礼とご報告:第4回 パパママセミナーを終えて

11月18日(日)

秋も深まり、日に日に冬の訪れを肌で感じる季節となりました。少し遅くなりましたが、第4回 パパママセミナーの無事終了をご報告いたします。 今回も、好天に恵まれたことを幸せに感じました。ご参加くださった皆様、日曜日の午前中という貴重な時間帯にお集まりいただき、心より御礼を申し上げます。

今回のテーマは、第1回 セミナーと同じく「離乳食、いつから?何を?どう始めればいいの?」でした。

当日は、離乳食をこれから始める、最近始めたばかり、既に始めて数か月が経ち新たな局面をむかえている、等々、様々な状況の皆様にお集まりいただいたこともあり、乳幼児期における食行動の発達といった点から解説させていただきました。「食べる」こととは、生後1~6ヶ月までの反射的に飲み、食べる時期を除くと、6ヶ月以降は、完全に学んで獲得する技能であること。乳幼児期は、嗅覚、味覚、聴覚、触覚、視覚を総動員して「食べる」ことを体感し、家族と共に楽しい時間と空間を共有しながら「食べる」ことを学んでいくこと。さらに、「食べる」ことには、乳幼児の心理発達が密接に関わっていることや、乳幼児の発達段階に合わせた食べ方、食べさせ方が大切であることにも触れさせてもらいました。そうしたことを踏まえると、「食べる」こととは、3歳までに獲得する複雑な技能の組み合わせであり、「食べる」ことの成熟には3年かかるのだとご説明しました。「食べる」ことに関しては、焦らず、気長に、おおらかに見守ることも大切なのです!

続いて、離乳食の開始時期について、厚生労働省がまとめた乳幼児栄養調査の資料から、直近の30年間を10年毎に棒グラフ化したものをご提示し、徐々に離乳食の開始時期が遅くなってきたことを図説しました。昭和60年、ちょうどママ世代が生まれた頃の離乳食開始時期は4か月(35%)が一番多かったのですが、平成27年、直近の離乳食開始時期は6か月(45%)が一番多いのです。これでは、おばあちゃん達には開始が遅い!と言われ、一世代前の子育ての先輩達からは早い!と言われてしまうことになります。こうした現象には、乳幼児の食物アレルギーに対する誤った認識の周知や、小児保健に関わる医療者の合意が曖昧なままであったことなどが関連しているのかもしれません。 私からは、赤ちゃんの発達が順調であれば、生後5ヶ月から離乳食を開始して早すぎることはないことを説明いたしました。

セミナーの後半には、離乳食を含めた乳幼児の食に関する資料を配布しました。配布した資料は、神奈川県立こども医療センターの偏食外来から発行された「偏食外来パンフレット チャレンジ編・いつから、なにを、どのようにたべる」です。全国的にも珍しい偏食外来を開設されたのは、神奈川県立こども医療センターの新生児科医であり、母乳支援の専門家でもある大山牧子先生です。大山先生は、私が大学病院勤務時代からお世話になっている、尊敬する先生のお一人です。大山先生が監修された資料(パンフレット)が、インターネットからも閲覧可能であったため、当日、皆様に提供させていただきました。とても、分かりやすく、様々なヒントと優しさがちりばめられた資料で、離乳食を含め、お子様の食に向き合う際に大変役立つものだと思います。こちらから閲覧可能ですので、ご関心のある方は是非ご覧ください。👉 偏食外来パンフレット チャレンジ編・いつから、なにを、どのようにたべる

後半の質疑応答タイムでは、窒息の心配に対する質問、時々活用するベビーフードの摂取量の上限をどう決めればよいか、子供の要求度、満腹度をどのように判断すればいいの、たんぱく質摂取は何からはじめるとよいか、便通に良い食材や食事の組み合わせは、等々、とても具体的かつ大切な質問をいただきました。いつも活発なご質問をいただき感謝申し上げます。それぞれの質問に、私なりの視点と情報を加えてお答えさせていただき、皆様と共有させていただきました。

離乳食を始めるとお子さんの体調面や心理面などにも変化が現れてくると思います。時には、ママやパパの思うようにいかず、ついイライラしてしまったり、不安や心配が募ることもあるでしょう。そんな時は、どうぞ遠慮なくクリニックにご相談にいらしてください!

では、次回12月16日(日)、9月に引き続いて2回目となる「スキンケアと食物アレルギーの関係について」のセミナーで皆様とお会いできることを楽しみにしております。

 

メディカルパーク湘南こどもクリニック

正木 宏

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