御礼とご報告:第14回パパママセミナーを終えて par2

令和1年9月29日(日) 第14回 パパママセミナー
「小児科医が伝えたい 子どもに与えるお薬の話」の報告Part2です。

解熱剤
39~40℃の発熱が続いてしまうと脳に障害が残る・・・といった都市伝説的な恐怖感をお持ちの方は少なくないと思います。しかし、人の体温とは、脳の体温調節中枢において最高41℃台まで調整が可能であり、脳の機能が働いていれば(髄膜炎や脳炎を併発していない限り)、発熱で脳が障害されることはありません。皆様より8度目の「へぇ~」!また、風邪の発熱には、ウイルスの増殖を抑え、それに打ち勝つ免疫力を高める作用があります。したがって、解熱剤で体温を下げると、抗体産生や炎症反応物質などの産生を抑えウイルス感染を遷延化することが分かっています。
では、解熱剤は使わない方が良いのか?
この点について、正解も結論も、存在しません。つまり、「使う vs 使わない」論争に、そもそも意味はないのです。はっきりと言えることは、熱があっても一般状態が良く元気な場合に解熱剤を使用する必要はないということです。しかし、自分で起き上がれないほどグッタリしている、普段とは異なりハーハーと荒い呼吸が続く、食事も水分も一切摂れないといった時には、解熱剤で一時的に体温を下げ、その間に体力の消耗を軽減し、水分・栄養の摂取を図ることは、決して不適切なことではありません。使用の目安は、通常 38.5~39.0℃以上ですが・・・実は、明確な基準や縛りはないことにも触れました。また、小児に比較的安全に使える解熱剤はアセトアミノフェンのみであること、そして、座薬より内服薬の方が、“早く、良く、効く!“ということも薬物動態を表すグラフを用いてご説明すると、皆様より9度目の「へぇ~」!をいただきました。座薬の方が、速攻性があり強力であるといった思い込み(イメージ)が、根強いようですねぇ!

整腸剤
整腸剤は、下痢止めではなく、腸内菌叢の異常による諸症状を改善するお薬です。ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌、糖化菌などを主成分としたお薬があり、有害菌増殖抑制作用、腸管運動促進作用、腸の粘膜保護作用など発揮します。主成分により、腸内での作用発現部位が異なることから、症状、経過に応じ、複数のお薬を併用したり、変更すると効果的です。

外用薬
外用薬は、基本的に単剤使用を目的に開発されており、混合剤の使用は極力避けるべきです。例えば、「ステロイド+保湿剤」、「ステロイド+ワセリン」といった混合剤の場合、ステロイドの濃度が希釈されると思われがちですが、むしろ、ステロイドの皮膚透過性は増加する、あるいは変わらないことが報告されています。皆様より10度目の「へぇ~」!さらに、混合剤は、健常な皮膚局面にまで治療薬を塗布することになりかねません。外用薬は、必要な部位にのみ、適切な量を適切な順番で塗り分けることが肝要です。軟膏類の適切な使用量については、1FTU(finger tip unit):人差し指の先端から第一関節までチューブから絞り出した量が約0.5gで、両方の手のひらに塗る量に相当することにも触れました。
PS:混合剤については、「計量混合」加算料として、薬局の利益になるという裏話にも言及しました(笑)

セミナー後半の質疑応答タイムでいただいた質問は以下の通りです。
Q:ステロイド外用薬の怖さとは何ですか?
Q:風邪に対する有効な予防対策とは?
Q:保湿剤とステロイド外用薬を個別に塗布する場合の順番は?
Q:子どもの虫刺されに市販薬のムヒは有効か?
Q:虫刺されは、痛み・痒み・腫れがさほど強くなければ放置でも良い?
Q:風邪の鼻水、吸引すべき?
Q:子どもの鼻水、昔ながらの方法「親の口で吸う!」はダメですか?
Q:幼児が乗り物酔いをした時の対応は?
Q:子どもが繰り返し嘔吐した時に水分補給の方法は?
などなど、とても重要なご質問を多数いただき、ありがとうございました。
それぞれの質問に、医学的見地から、私なりの言葉でお答えをさせていただきました。

さて、次回10月27日(日)のパパママセミナーは、
「小児科医が伝えたい 離乳食のお話」です。
離乳食は、育児の中でも身近でありながら悩み多き問題の一つといえるでしょう。
これまで最も多く取り上げたテーマですが、過去の内容をアップデイトしてお届けしたいと思います。

メディカルパーク湘南こどもクリニック
正木 宏

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