御礼とご報告:第2回 パパママセミナーを終えて
9月9日(日)
夏空と秋空が混じり合う、清々しい天気の中、第2回目のパパママセミナーを無事に終了しました。ご参加くださった皆様、日曜日の午前中という貴重な時間帯にお集まりいただき、心より御礼を申し上げます。
今回のテーマは、「スキンケアと食物アレルギーの関係について」でした。
セミナーの開始にあたり、私が乳幼児に対するスキンケアの重要性を発信するようになった経緯をお話し、乳児期のスキンケアについて私自身が取り組んできたこともご紹介しました。
以下、関心のある方はご覧いただけますとと幸いです。
正木 宏.生後早期からの洗浄と保湿に注目した,新生児,乳児の新たな皮膚ケアに関する考察.日新生児成育医会誌 2017;29:347-355.PDF dhm 1
正木 宏.生後早期からのシャワー洗浄と全身保湿を基本とした新たな皮膚ケア導入後2年の検証.日新生児成育医会誌 2018;30:108-114.PDF dhm 2
ところで、冒頭に「皮膚って、臓器でしょうか?」と私が質問したところ、皆様「きょとん!」としておられました。実は、皮膚はれっきとした臓器です。しかも、人体で、最大(面積&重量)の臓器なのです。さらに、発生学的には、脳神経系の臓器と同じく外胚葉に起源することから「第2の脳」と形容されることなども紹介しました。この話、いずれまた、深―く掘り下げてお話しする機会があれば嬉しいです(笑)。皮膚って実に、奥深―いんです!
セミナーでは、先ず、食物アレルギーを語る上で用いられる「抗原」「抗原抗体反応」「アレルギー」「感作」といった、こどば(用語)の確認と解説をしました。その上で、「アレルギーマーチ」の話、続いて、2008年にG.Lack 先生が提唱した『二重アレルゲン曝露仮説』の解説(図説)、次いで、皮膚トラブルと食物アレルギーの関係(経皮感作、湿疹感作の概念)について、さらには、スキンケアが食物アレルギーの発症予防になるという最新の考え方を解説しました。
最後に、「スキンケア=保湿」のみならず、「優しく、正しく洗って、しっかり保湿」を実践して欲しいとお伝えしました。中でも、入浴や洗浄という行為については、日本の小児医療、小児保健に関わる者の間でも正式なコンセンサスがなく、むしろ不適切な指導がなされていることも少なくない現状を解説しました。2016年に、Pediatric Dermatology という権威ある医学雑誌に、ヨーロッパにおける推奨として提言された、赤ちゃんの入浴時の湯温は37℃程度で、日本の指導内容よりも低めであることを紹介しました。私自身も、乳幼児の入浴や洗浄に適した湯音は37℃程度のぬるま湯を推奨しています。「熱~いお風呂に肩までつかって!」という日本古来の文化に歯向かうようで恐縮です・・・(笑)。
後半の質疑応答タイムでは、パパ、ママから活発にご質問をいただき感謝申し上げます。
ご質問の要旨のみを挙げると、「紫外線対策」、「誘因不明の湿疹への対応」、「洗濯物の分別の必要性」、「界面活性剤の考え方」、「父の甲殻アレルギーが子に及ぼす影響」、「アレルギーの遺伝的素因」などなど。パパ、ママの意識の高さには、驚きとともに敬服いたしました。それぞれの質問に、私なりの視点と情報を加えてお答えさせていただきました。
今回取り上げた、「スキンケアと食物アレルギーの関係について」というテーマは、パパママにとって、大変関心が高く、また、我々にとっても伝えるべきことの多い、重要なテーマであることを “肌で” 感じました。是非、今後のセミナーでもリピートして取り上げたいと思います。
今回もまた、「もっと、こうして差し上げたかったなぁ~」と、反省、後悔の念が尽きません。スタッフ一同で反省会を行い、次回、さらに良いセミナーを皆様にお届けしたいと思っております。
では、次回10月21日(日)、「意外と知られていない、赤ちゃんのサプリメントについて」のセミナーで皆様とお会いできることを楽しみにしております。
メディカルパーク湘南こどもクリニック
正木 宏