2021/2022 シーズンのシナジス投与(2021年6月からスタートです!)

シナジスによるRSウイルス感染症予防 2021/2022年シーズンは6月から開始します

RSウイルス感染症とは
RSウイルスによる呼吸器の感染症です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するとされています。大人はかかっても軽い鼻かぜですみますが、乳幼児では細気管支炎や肺炎で呼吸困難となり入院が必要となることがあります。とりわけ、早産で生まれた乳幼児、心臓の病気を持っている乳幼児、免疫力が弱いあるいはダウン症候群の乳幼児は、重症化のリスクが高いとされています。以前は秋~冬季が流行期間とされてきましたが、近年では夏季から流行が始まるようになってきています。

シナジスとは
RSウイルス感染を防ぐ抗体成分を精製した予防薬(注射)です。
効果の持続期間は1か月なので、RSウイルスの流行期間中は毎月注射する必要があります。

神奈川県におけるRSウイルス感染症の流行は、2019/2020年シーズンまでは秋~冬季から夏季にシフトした流行パターンに変化していました。しかし、2020/2021年シーズンは、COVID‐19(新型コロナウイルス感染症)流行拡大により多くの小児感染症が激減しました。RSウイルス感染症も散発的な地域発生はありましたが、流行はほぼ皆無でした。RSウイルス感染症の重症化を予防するためには、流行が始まる前にシナジス投与を開始し、流行期間中は抗体を充分に維持する必要があります。2021/2022年シーズンの流行予測は、コロナ禍におてい極めて困難ですが、日本小児科学会神奈川県地方会感染症小委員会は、昨年までと同様、6月から概ね8回(来年1月終了を目途)を標準的なシナジス投与期間として勧奨しています。理由は、ユニバーサルマスク、Physical Distancing、手指衛生の徹底によりRSウイルスに罹患したことのない感受性児が今後増加することで、ひとたびRSウイルスに感染すると爆発的な患者が発生する可能性が高く、その際にハイリスク児(下記のシナジス投与対象者)が投与機会を逃して重症化することを避けなければならないからです。

保険適応(乳児医療の費用負担)でシナジスを投与できる対象者は、RSウイルスに感染すると症状が重症化しやすい以下の乳幼児です。

シナジス投与対象者
早産児
・在胎週数28週以下(28週6日まで)で、6月の開始日に12か月齢以下
・在胎週数29週~35週(35週6日まで)で、6月の開始日に6か月齢以下
② 血行動態に異常の有る先天性心疾患で、6月の開始日に24か月齢以下
免疫不全で、6月の開始日に24か月齢以下
ダウン症候群で、6月の開始日に24か月齢以下

基本的には、予防接種・健診の時間帯に行います。
シナジスは、予防接種ではないので、予防接種との同時投与も可能です。

当院にてシナジス投与をご希望される方は、お子さんがシナジス投与対象者に当たるかをご確認の上、お電話にてお問い合わせください
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、大学病院や総合病院への通院が困難な場合は、当院でシナジス投与を行うことも可能です。主治医の先生とご相談ください。

院長 正木 宏